中国IT企業のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の事業内容とこれまでの成長についてまとめて紹介

中国IT企業のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の事業内容とこれまでの成長についてまとめて紹介

こんにちは。チリ毛(@chirigetravel)です。

近年の発展目覚ましい中国のIT市場

急速な発展のせいか、アメリカとの貿易摩擦を発端に目をつけられ、ついには中国4大IT企業(BATH=バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の一角であるファーウェイの輸入禁止が発表されました。

 

今後のアメリカと中国の間での貿易対立は続いて行くことが予想されますが、ファーウェイ以外の3社(バイドゥ、アリババ、テンセント)はどんな事業を展開しているのか、元IT企業勤務の私がご紹介したいと思います。

 



中国 「BATH」 とは?

BATH とは中国企業である

  • バイドゥ
  • アリババ
  • テンセント
  • ファーウェイ

のことで、中国版 GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)のような存在として、中国経済/社会の変革を牽引しており、最近話題の米中貿易摩擦の発端ともなった中国の技術革新を支えています。

 

FINTECH、AI の領域での ICT 企業としての活動に留まらず、ニューリテール等の多くの分野に進出した BATH 四社のサービス・プロダクトが中国人の生活に今や不可欠なものとなり、中国国内では絶対の規模と影響力を示すようになりました。

 

さらに、BATH 四社は積極的に海外進出を図っています。

 

BAT の事業と成長

それではここからはファーウェイを除くBATHの残り3社の事業内容とこれまでの成長について紹介していきます。

バイドゥ

(1)バイドゥは検索エンジン事業から始動し、検索のリスティングサービス(検索エンジンに一定の広告費用を支払うことで、指定したキーワード検索時に広告を表示するサービスのこと)をビジネスモデルに確立させました。

サービスとしては、

  1. 検索
  2. バイドゥアプリ
  3. FINTECH
  4. 広告
  5. クラウド
  6. AI・自動運転関連

の 6 点を軸としています。

 

検索を軸にした多角化戦略の展開も行い、主に

①旅行サイトへの投資、

②O2O(online to offline)生活サービスの提供、

③Fintech 分野への参入

の 3 点です。

 

(2)動画配信サイト「愛奇芸」を 2018 年 3 月に米国上場した他、2016 年に投資ファンドであるバイドゥベンチャーズ(Baidu Ventures)バイドゥ資本(Baidu Capital)を立ち上げ、投資活動にも注力しています。

2017 年に約 40 社(企業サービス、AI・ハードウェア、交通、物流、生活・エンターテイメント、金融・不動産等)に投資を敢行しました。

 

(3) 社運を賭けて、人事や投資、人材誘致、研究等の側面から AI 戦略を強化すべく、All in AI 政策を打ち出しました。

それらの政策の一例として、以下のような事業が挙げられます。

自動運転国家 AI オープンイノベーションプラットフォームを確立し、2017 年に「Apollo(字度運転基盤)オープン計画」を発表しました。

2018 年には金龍客車と共同生産する自動運転バスが 100 台に到達しました。

 

② 中国国内では、AI を活用した顔認証システム(消費者の顔に合わせて、美人度の上がる化粧品を推奨)がデパートで導入され人気になっています。

 

アリババ

(1) アリババは、1999 年の創業から 3 つの世紀に跨って生き残る企業になるとの創業者の Jack Ma(馬雲(バ・ウン))氏の強い意志がありました。

  • E コーマス
  • エンターテイメント
  • クラウド
  • イノベーションイニシアティブ

の 4 つのカテゴリーで、衣、食、住、行(交通)をカバーし、今や生活インフラを提供する巨大なネット企業、様々な業界の発展を促すデータ会社になりました。

 

(2) 「皆が知っている E コマース会社のアリババは、実はデータ会社に変わりつつあります。E コマース、金融、物流、クラウド及びエンターテイメントはデータを生み出す重要なシーンとなることが予想されており、アリババは生み出されたデータを駆動し、様々な業界の発展を促す

との Daniel Zhang(張勇)CEO の言葉が有名です。

 

(3) エコシステム(デベロッパーやベンダーが平等に利益を得られる協業形式拡充)として、下記 4 点を遂行しました。

①独身の日キャンペーン(中国でシングルを意味する「1」が続く 11 月 11 日のバーゲンキャンペーン)

ニューリテール(OMO(Online Merger Offline)

③Alipay といったアント・フィナンシャル(アリババグループの金融関連会社)の成長

④企業版SNS「釘釘」(日本語 HP オープン、企業版で WeChat と差別化)

です。

リテールビジネスとは、一般的には大衆に向けた小売ビジネスのことを言います。

金融業界では小口の金融業務を指すときに用いられます。

 

(4) アリババのキーワードは、①グローバル化、②農村(タオバオプロジェクト、村の 3 分の 2 がネットショップで収益化を図る)、③「五新」、④テクノロジー 4 点です。

「五新」戦略とは、①ニューリテール、②新金融、③新製造、④新技術、⑤新エネルギーのことを指します。

 

(5) ニューリテールが E コマースに取って代わると認識しており、「盒馬鮮生」(ファーマーシェンシェン)がその代表例です。

(会員制で新鮮さが売り。QR コードをかざして商品情報が追跡でき、健康への関心の高い中国人のニーズに応えている。店内で試食ができるのは新しいビジネスモデルではないが、家族が賑わう場を作っている。東北地域は 1 つもない)。

(6) Fintech 企業から TechFin へ、つまりは、会社としての優位性はテクノロジーにあり、技術によって金融を包摂したいという会社としてのメッセージが明確です。

従来得意としていた決済サービスより、テクノロジーサービスの収益を上げたいとしています。

中国人が海外で WeChat pay、Ali pay を使いたいとするニーズは、インバウンドに関心のある日本企業にとって重要です。

 

テンセント

(1) インスタントメッセンジャー「QQ」の事業からスタートアップを行いました。

かつての重要な柱であったゲーム事業には、中国政府からの規制が入り、収益の比率が低下し続けているため、SNS 事業が軸に代わりました。

近年の収益源としては、ゲーム事業を縮小させ、決済、クラウドといった「その他」の部分が増加の一途を辿っています。

 

(2) BAT のバイドゥは技術、アリババは戦略、テンセントはプロダクトが強いということに加え、テンセントは、「外部有力企業との連携によって、様々な領域を網羅する」という考えを保有しています。

テンセントは、ヘルスケアにも注力し、ニューリテールに対抗するスマートリテール(直営店舗を持たない点でアリババと差別化を図り、WeChat をベースにしたビッグデータ解析で消費者に情報提供)を打ち出しました。

 

(3) フリーサービスやプラットフォームでユーザーを多く囲い込んでから、テンセントが構築したエコシステムの中で取引を発生させ、収益化を図っています。

テンセントはプラットフォーマーとして新たなビジネス形態を生み出しており、E コマース(京東)、金融、情報発信(公衆号)が台頭しました。

 

(4) アリペイに相当するテンペイをリリースしたが不調だったという経緯があり、何事にも挑戦する企業風土があります。

そのキーワードは、①ベンチャー投資活動、②多岐な分野、③先端技術、④ビジネス向けのソリューション(To B にシフト)の 4 点です。

まとめ ―OMO への展望

今回は BAT の各事業内容やこれまでの成長、企業の特徴について紹介しました。

前述したニューリテール戦略とは、2016 年末、アリババのテクノロジーの祭典である雲栖大会(云栖大会)で Jack Ma 氏が自ら提唱したコンセプトです。

2017 年には前述したようにスマートリテールを打ち出したテンセントが当分野に参入し、対立の構図が形成されました。

元来ニューリテールと言えば、オンラインを活用しながらオフラインを活性する「O2O(Online to Offline)」戦略が取られることが多かったものの、アリババによって前述した OMO(中国発となる新しい単語)の下、オンラインとオフラインとが統合されました。

人々はオフラインの店舗に足を運び、その場で購入し商品を受け取ることができるのは勿論のこと、店舗訪問後は、商品鮮度や店舗の清潔さを予め確認できているがために、安心感を持ってオンラインへ移行し、自宅へのデリバリーを発注することが可能になりました。

 

アリババのニューリテール政策の究極的な目標とは、アリクラウドに蓄積された膨大なビッグデータを活用しながら、在庫を極限まで削減し店舗運営の効率化を実現し倉庫を排除することにあります。

このことから読み取れる点としては、オンラインとオフラインは統合されて然るべきであるという点です。

 

 

受動的購買と能動的購買という概念がありますが、

①オフラインの店舗等では、店員の説明を聞きながら、購入の是非につき十分に検討を行った上で購買行為に移ることができる(受動的購買)のに対し、

②オンラインの EC サイト上等では、実際に文字に起こされた購入者の生の声/レビューを判断材料にでき、消費者は時間に縛られずに購買を企図することがで
きます(能動的購買)。

 

無論、オフラインでも能動的購買になっている場面は多々あるかと思われますが、異なるライフスタイルの消費者に最適な方法で商品の魅力を提示する、という点では、事業者はOMO のような視点を持つことは必要不可欠であると言えるでしょう。