モバイル決済アプリを提供するキャッシュレス決済企業はどうやって利益を得ているのか?マネタイズ方法を解説

モバイル決済アプリを提供するキャッシュレス決済企業はどうやって利益を得ているのか?マネタイズ方法を解説

こんにちは。チリ毛(@chirigetravel)です。

昨年度までは一部の人の中で話題になる程度であったキャッシュレス決済。

今となっては電車やカフェでキャッシュレスの話題が聞こえる程に人々の認知度を得ています。

先日行われたLINE Payによる「全員にあげちゃう300億円祭」は記憶に新しいイベントですが、開始3日目にして半分の150億円相当が送金されるほどに多くの人に影響を与えています。

その前にはPayPayによる100億円キャンペーンなどもあり、2019年に入り一気にその知名度が増しています。

 

そんなキャッシュレス決済ですが、キャッシュレス決済企業は無料現金バラマキキャンペーンを展開しているが、どこで利益を得ているのか?

という疑問について考えていきたいと思います。

 



キャッシュレス決済企業はどこで稼いでる?

上記で上げたLINE PayやPay Payだけに限らず、多くのキャッシュレス決済サービスは加盟店手数料が安いのが特徴です。

LINE Payなどは無料ですしね。

一つのマネタイズポイントである加盟店手数料でのマネタイズを放棄している状況と言えるわけです。

 

そんな状況にもかかわらず、数百億円規模のキャンペーンなどをやっていて、企業として大丈夫なのでしょうか?

どこで稼いでいるのでしょうか?

そんな疑問が湧いていきます。

 

現状はまだ赤字?

単刀直入に結論を言ってしまうと、「他のITスタートアップ同様に黒字化できていない。」というのが答えのようです。(汗)

事実、LINE Payは平成31年決算によればマイナス54億円の当期純利益であったようです。(涙)

 

ただし

創業後3~5年は赤字で、その間は資金調達によって開発・投資などに必要な資金を補い、3~5年目以降に黒字化を目指す

というのは多くのIT系スタートアップに共通する特徴であり、その点に関して強い懸念を抱く必要性はありません。

 

しかし数年後に黒字化するとはいえ、決済事業者の主な収益源である決済手数料が他事業者に比べて安い・無料であり期待できる収益が小さいのにも関わらず、膨大な販促費を使った大型キャンペーンなどを実施するモバイル決済事業者は今後どこで収益を上げようとしているのでしょうか?

疑問に思う点です。

 

モバイル決済アプリはどこで収益を得ようとしているのか?

モバイル決済アプリのマネタイズポイントしては主に

  • アプリ内広告による収益という一般的なアプリ事業者に共通するポイント
  • データ売却による収益及び
  • 顧客との接点提供による収益

を合わせた3つ挙げられます。

 

アプリ内広告による収益

アプリ内広告は一般的なスマートフォン向けアプリの主要な収益源であり、認知度も高い方法です。

その例に漏れずPayPay/LINE Pay等のモバイル決済アプリもアプリ内バナーを設置し、提携企業等の広告を配信する事で収益を挙げています。

 

また決済系アプリは基本的に「日常的に開かれるもの=広告を見られる可能性が高い」と考えられるので広告枠としての値段は他のアプリに比べて高いと言われています。

上記はスマートフォン向けアプリの一般的なビジネスモデルである為、特異性は感じる事が出来ません。

 

しかしこれから説明する「データ売却による収益及び」「顧客との接点提供による収益」2点のマネタイズ方法は、「決済」を提供するアプリならではのビジネスモデルとなります。

 

そして2点を説明する前に簡単にデジタル時代のマーケティングの基本的な考え方について説明させて頂きます。

 

従来型のマーケティングの特徴

従来型のマーケティングではTVCM・新聞広告に見られる様に「不特定多数」への発信が基本でした。

又在庫・販売管理に於いても個々の購買に対し、顧客の情報を結び付ける事はなく、POSレジ利用時には店員が顧客の年代を「推定」して入力していました。

 

デジタル時代マーケティングの特徴

しかしデジタル化が進んだ現代に於いては「認知→関心→検討→来店→購買」の全てのフローに於いて顧客1人1人の行動を追跡(トラッキング)し、分析した上で「1人1人にダイレクトに訴求できる様にカスタマイズされたマーケティング」が行われています。

 

何やら難しいですね。

具体例を上げましょう。

 

具体的には

①認知時には「どの広告を?どのWebサイトで?何回見たのか?」等を観察する

②検討段階に於いては「どの商品のページに長く滞在していたか?何をお気に入りに登録したのか?他のWebサイトでは何を調べていたか?」をトラッキングし、趣味嗜好をあぶり出す

③来店はECに於いてはWebページ訪問履歴を基に観測するのは勿論の事、オフライン店舗に於いてもスマートフォン端末の位置情報を利用した来店計測を行う

④購買時にはポイントカード・決済アプリを通じて「どんな人が?何と何を?どれくらい買ったのか?」を観察する、といった事が行われています。

 

ここで話を戻しますが、こういったデジタルマーケティングの潮流に合わせる形でモバイル決済アプリは以下2点の様な形で収益を得ようと試みています。

 

顧客との接点提供による収益

例えば、ある飲料メーカーが新商品のコーラを販売する際に、「(普通の人よりを買ってくれる可能性が高い)”コーラ好きな人”として、”毎日コーラを買ってくれる人”を判別し、その人にフォーカスした広告を配信する」施策を取る事が出来れば、これまでの不特定多数を対象にしたTVCMを配信するよりは効果が得やすい事が容易に想像できます。

そりゃ買ってくれる見込みのある人を狙って広告を出すことができれば、非常に効率的でしょう。

 

コーラを販売するスーパーなどの小売店に於いてはポイントカードのシステムを利用すれば各購買と顧客情報の紐付けが可能となりますが、プライバシーの観点でメーカーが顧客情報に紐づいた購買データを獲得する事が出来ず、獲得できた場合でも各小売店によってデータの形式が異なりますので統合に大きなコストがかかる為、実際に「顧客の購買データに基づいた効果的な広告配信」が出来ていないのが現状です。

しかしモバイル決済アプリは比較的多くの小売店に於いて利用可能であり、各店舗での購買履歴を横断的に統一データ形式にて取得可能です。

そのため、例えば「LINE Payでコーラを買った人に、LINEのメッセージで直接広告を配信できる機能」を売る事で、メーカーは上記の様な「コーラ好きな人にコーラを宣伝を直接配信する」事ができるようになるわけです。

これまでのマーケティングとは一線を画す手法ですね。

 

上記の様な詳細な購買履歴収集(1回の決済時に何と?何を?それぞれいくつ買ったのか?)に関してはまだ完全に実現できているかは定かではないです。

しかし、「AA社のキャンペーンで来店した人に、AA社の新商品の宣伝を配信する」といった事例は既に存在し、こういった広告主(メーカーなど)が消費者の1人1人の購買行動に基づいたマーケティング」ができる機能を提供するというケースがモバイル決済アプリの大きな収益源の一つとして考えられていまるのです。

 

データ売却(データビジネス)による収益

上記で述べて来た様に現在のマーケティング業界に於いては

「広告を見る→関心を持つ→検討する→購入する」

といった購買に於ける全ての行動を個人単位で追跡し、商品開発や広告配信に利用する手法が非常に注目されています。

 

それを可能にする為に、

  • 顧客1人1人の属性データ(年齢・性別)
  • Web閲覧データ・位置情報データ
  • 購買データ

など、様々な種類のデータをなるべく多く集める事が重要視され、ニッチかつ取得が難しいデータであればある程、ボリュームが大きければ大きい程、高い値段でやり取りされています。

そういった中でこれまではクレジットカード会社が独占的に取得していた顧客の購買データを取得する事ができるモバイル決済アプリはデータビジネス(データ売買)に於いて高い優位性を発揮できるという点があります。

そしてこれもLINE Payなどのモバイル決済アプリが収益化を目指しているポイントの一つとなっています。

 

まとめ

キャッシュレス決済事業の収益化の現状についてと、これからの収益化の方針について紹介しました。

 

現状日本でのキャッシュレス決済サービスはまだまだ広がっているとは言い難く、これから利用者数をどれだけ増やしていけるかが事業の鍵となるでしょう。

大型のお金バラマキ企画は、利用者拡大という意味では一定の効果があったように感じられます。

 

今後マネタイズもしっかりと行われ、サービスとして更に便利なものとなっていけば、現金主義国である日本においても徐々に広がりを見せるのではないでしょうか。