【書評・ネタバレ】森川氏の著書「データ・ドリブン・エコノミー」は、今後の社会変化に気づきを与えてくれた

【書評・ネタバレ】森川氏の著書「データ・ドリブン・エコノミー」は、今後の社会変化に気づきを与えてくれた

最近何かと話題になっている「データ利活用」に関する書籍「データ・ドリブン・エコノミー」を読みましたので、その内容と感想、読んだ上での学びについてご紹介します。

インターネットの発達により人々の行動がWEBに流れ、WEB上でのデータ収集に注目が集まっている昨今。

事実WEB上での集客を目指すWEBマーケターという職業は、現在圧倒的な人手不足に陥っています。

 

しかし時代は「WEBデータ」の利用からさらに先を行き、IoT機器を使って「リアルデータ」を収集しそれをビジネスに生かしていく動きにまで発展してきています。

そんなこれからの社会がどう変化していくのか、そしてどう生き抜いていけばよいかのヒントを与えてくれるのが、東京大学先端義技術研究センター教授の森川博之先生による著書「データ・ドリブン・エコノミー」なのです。

 

 

データ・ドリブン・エコノミーとは何か?

まずは簡単にデータ・ドリブン・エコノミーとは何なのかについてご紹介します。

 

多くのメディアで取り上げられているように、今後の社会においてはデータが起点になり、あらゆる領域で価値を生み出す動きが拡大し、デジタルがあらゆる産業/社会を変革していく時代が到来すると言われております。

この一連の活動の事をデータ・ドリブン・エコノミーといいます。

 

既にデジタル化の流れは業界の垣根を壊し、社会構造を変えつつありますが、インターネット、スマートフォン、クラウド、センサーが普及したのは直近20年でこれはあくまでデジタル革命の助走期に過ぎません。

今後はICTが真価を発揮しデジタルが社会の隅々に浸透するとのことです。

 

過去の歴史を紐解いてみても、ある産業がバブルの崩壊を経て台頭するまで、30年から40年かかっており、インターネットバブルやリーマンショックでバブルがはじけた時期を加味すると、真の意味でデジタル社会が到来するのは2040年頃との予想です。

 

それではここから本書からの学んだことを詳しく解説していきます。

 

リアルデータはWebデータを凌駕する

インターネットの普及により、世の中を飛び交うデータ量は増加の一途を辿っており、いまやデータは21世紀の石油」と形容されるまでになりました。

これまでデータの主役はWebデータが担っており、その覇者としてGAFA等、プラットフォームを構築し独自のエコシステムを形成している企業が挙げられます。

 

しかし私たちの生活のなかには、デジタル化されていない膨大な量のアナログデータがあります。

そしてIoTの普及により、あらゆるものが低コストでインターネットに接続され、リアルな世界からアナログデータを簡単に収集できる環境が整備されつつあります。

リアルデータの量は、グーグルやアマゾン、フェイスブックが集めてきたWebデータとは比較にならないほど膨大であり、今後はリアルデータを集めたものがプラットフォーマーとなり、市場を席巻するとの事です。

しかもまだ誰にでも勝利をつかむチャンスがあるのが、リアルデータの世界といえます。

 

デジタル化は社会基盤に変革をもたらす力を持つ(ヘルスケア、農業、教育の例)

では、どんなデータを収集し、どんなサービスを提供すればよいのか?

大変疑問に感じますが、その問いに明確な答えはないそうです。

なぜならデータビジネスにおいては、走りながら考える過程で、新たな価値が見つかるからです。

 

たとえばアマゾンがやっている「アマゾンレンディング」という小口の融資事業は、事業者の取扱商品や取引履歴、在庫状況といったデータを収集していくなかで、なかば偶発的に生み出されました。

またアメリカンフットボールでは、戦略分析のために始めた選手のプレーをデジタル化する取り組みが、結果的には観客にとっての魅力的なコンテンツ提供にもつながっています。

どちらのケースにおいても、データを収集した当初は、新しいサービスを生み出すことを想定していませんでした。

 

新たな価値が生まれるかどうかは、やってみなければわかりません。

身の回りのデジタル化できるアナログプロセスを把握し、事業の失敗リスクを恐れず、デジタル化に取り組む姿勢が重要です。

 

ここからは3つの具体的な分野においての例をご紹介します。

 

ヘルスケアの例

現在は病気を自覚してから病院を訪れるという「リアクティブ型」の医療が中心ですが、今後は予防的な「プロアクティブ型」の医療が中心となると考えられます。

プロアクティブ型の医療を実現するための核となるのがデータです。

データを入手するためのウェアラブル端末となりうる日常生活の中でデータ収集可能な技術の提案として極小のマイクロレーザーを埋め込んだスマートコンタクトレンズや、布にセンサーが縫い込まれた衣服などの記述がありました。

 

農業の例

日本では農業従事者が減少に向かっており、従来の経験や勘にたよる農業からの脱却を目指さす必要がある為非常にデジタル化が期待されている領域です。

 

いまのところ日本の農業におけるデジタルデータの活用は限定的ですが、行政や企業、JAなどが中心となり、大規模経営に適した栽培技術や経営管理技術を次世代に伝えるためのプロジェクト「農匠ナビ1000」が立ち上がるなど、変化が始まりつつあります。

 

ビッグデータを活用し、農業と食を結びつけ新たな価値を生む農業を「データ駆動型農業」と呼び、ICTを使えば、消費者に対して摂取するべき野菜を提案したり、農作物の栽培履歴を消費者の健康管理に役立てられる可能性もあります。

また消費者の需要動向も細かく把握できるので、食品ロスの削減も可能です。

こうした「データ駆動型農業」が実現するかどうかは、生産者、流通業者、販売業者、消費者などが共同で利用できるプラットフォームをいかに構築するかにかかっています。

 

教育の例

現在の教育はあまりにアナログなので、何かしらのデータ取集ができれば、良いクラスの定義ができるかもしれません。

また、データを用いでよいクラスの定義ができれば、その再現が可能となり、教育効率が飛躍的に向上する可能性もあります。

 

例えば、教科書を電子化してそこからデータ収集をするだけでも、生徒がどこで集中力を切らしたか、どこを繰り返し学習していたかなどの考察が可能となります。

 

企業がデジタル化を進めるために必要なものはリスクを恐れないことと業界の垣根を超えること

以下本書からの抜粋です。

経営者は、デジタル化を推進するチームに対して、すぐに結果を求めてはいけない。長期的な視点を持つべきだ。

そしてオープンイノベーションの視点から、業界の垣根を超えたエコシステムを早期に形成する必要があるだろう。

多様性のあるエコシステムからは、新たな価値が生まれやすい。リスクを恐れず、オープンなエコシステムを他社に先駆けて形成できた企業が、先行者利益を得られる。

とはいえデジタル化そのものが目的になってはいけない。

現場の顧客のニーズに寄り添い、なんのためのデジタル化なのかを忘れないようにしよう。顧客ニーズに着目し、なぜデジタル化が必要なのか、ストーリーを描ける企業が次のリーディングカンパニーになるのだから。

※「データ・ドリブン・エコノミー」より引用

 

リスクを恐れずにデジタル化に積極的に取り組みつつも、広い視野を持てるような仕組み作りをその後の顧客への価値創造まで確り考えるということが大切であると、森川氏は教えてくれています。

これまでは一部の人にしか関係がなかったデジタル化ですが、すべての人が関わらずにはいられない社会になってきています。

その中で自分がどのように関わり、利用し、そして貢献してくのか、広い視野を持って考えていくことが大切ではないかと感じました。

 

まとめ

最近ではQR決済などの、今までデータをとれなかったオフライン領域(本書内ではリアル、アナログ等の表現)をデジタル化し、データを取りに行く動きが始まりつつあるような気がします。

データを取りに行くこと自体とデータをどう活用するかの2つを常に考えながらビジネス考案しなければならないことを再確認することができました。