不動産投資で重要な「減価償却費」の役割をわかり易く解説
- 2019.06.10
- 不動産投資

この記事では不動産投資において重要な役割を果たす「減価償却費」について解説します。
減価償却費とは一般的には以下のような意味にて用いられる言葉です。
建物や機械設備など,企業が長期間にわたって利用する資産を購入した場合,その購入価額をいったん資産として計上した後,当該金額を資産の耐用年数にわたって規則的に費用として配分される金額。
代表的な計算方法には,定額法と定率法がある。
工場など生産部門で生じた減価償却費は,製品の製造原価に含められ,販売・管理部門で生じた減価償却費は,販売費および一般管理費として売上高から控除される。
減価償却費は支出を伴わないから,同額だけの資金が企業内部に留保されるという財務的効果を持っている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について
ふむ。難しい言葉がたくさんで、なんとなくしか分かりません。
つまるところ、長期間使える大きい買い物をした時に、その費用は実際には一括で支払うけれど、財務上は決められた期間に按分して経費化して良いよ!ということです。
ではそれを不動産投資で行うと「どんな良いこと」があるのか、見ていきましょう。
不動産投資においての減価償却費
一口に不動産を買う!
と言ったときに、不動産は大きく「土地」と「建物」の2つに分けることができます。
それは不動産を「建物だけ」買うか、「土地と建物両方買う」という選択が出来ることからも言えることです。
土地と建物の合計の価格が不動産の価格となりますが、このうち建物の価格についてだけは数年に渡って減価償却費として扱うことができます。
これはリフォームなどで導入する設備投資なども含むことができます。
減価償却費の効果
次に減価償却によって得られる効果について解説します。
利益を均等化する
例えば、建物と土地がそれぞれ5,000万円で、合計が1億円の物件があったとします。
この物件の購入経費計上のタイミングは、仮に10年の法定耐用年数が残っていたとしたら、建物代金の5,000万円を毎年500万円ずつ経費にできることになります。
仮にこの減価償却が適用できなかった場合、5,000万円の費用は単年に一括で計上され、計上された年は大幅な赤字で、その他の年は黒字となることになります。
上記のようになると納税される税金額も年によって大幅にブレることになってしまいます。
この納税金額の上下を無くすために「減価償却」という考え方があるのです。
節税になる
建物や設備投資にかかった金額を、法定耐用年数で按分し、毎年経費として扱うことで納税額を一定に保つという効果の他にも、投資家にとって嬉しい効果が発揮されています。
それは、減価償却という考え方があることによって、全体の納税額が少なくなっているということです。
つまり節税になっているということです。
例えば上記の物件が毎年600万円の家賃収入を生んでおり、その利益に30%の税金が課せられるとします。
減価償却がある場合、10年間は毎年500万ずつ物件価格が減価償却費として計上されるため、毎年の利益は100万円になります。
この100万円に30%の税金が課せられるため、毎年30万円、10年で300万円の納税となります。
仮に物件価格5,000万円が減価償却されなかった場合、まとめて経費計上される年は4,400万円の赤字(経費5,000万円に利益600万円のため)で、その他の年は600万円の利益が出ることになります。
これに税率をかけると、赤字の年は納税額0円ですが、残りの都市は600万×30%=180万円の納税となります。
減価償却できた場合と比べると、法定耐用年数の10年のうち9年を180万円の納税をすると考えると、
180万×9年=1,620万円の納税額となります。
減価償却できた場合と比べて、10年で1,320万円もの金額が変わってくるのです。
つまり、毎年の減価償却費が大きくなり、納税対象の利益額が少なくなることは、投資家にとってとても有利に働くことになるのです。
減価償却ができる期間
上記で解説した通り、減価償却費は投資家にとってとても有利に働くものです。
そしてその期間はできる限り長いほうが投資家としては望ましいのですが、残念ながら物件によって期間は決まっています。
減価償却ができる期間は、物件の法定耐用年数と同等の年数しか適用できないのです。
ただし中古の物件に関しては、この法定耐用年数の残期間に加え、経過している年数×20%の年数を加算した年数が減価償却期間となります。しかし下限の期間は4年と決められています。
法定耐用年数は物件の造りによってそれぞれ以下のようになっています。
構造 | 法定耐用年数 |
鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造り(SRC、RC) | 47年 |
重量鉄骨(金属)造り | 34年 |
軽量鉄骨(金属)造り | 27年、19年 |
木造 | 22年 |
上記のようになるため、長期間の減価償却としたい場合、法定耐用年数が長く残っている物件を購入する必要があります。
逆に短期間で経費計上したい場合は、法定耐用年数ギリギリの物件を購入するか、もしくは耐用年数を超えている物件を選ぶと良いでしょう。
様々な原価償却の年数については以下の東京都主税局のサイトから見ることができます。
また付帯する設備投資の減価償却期間は、ものによって大きく異なりますが、およそ6年から15年程度が目安です。
自身が行う設備投資の減価償却期間を必ず確認して、経費計上するようにしましょう。
まとめ
不動産投資において重要な役割を果たす「減価償却費」について解説について解説しました。
- 減価償却は建物と設備にだけ関係するもの
- 節税の役割を果たしてくれる
- 減価償却の期間は物件によって異なる
上記の点を理解し、あなたが購入する物件ではいくら分、どれくらいの期間を減価償却として当てられるのか把握し、利益額を間違えないように計算しましょう。
効率良く体系的に不動産投資の知識を身に付けたいなら、ファイナンシャルアカデミーのセミナーがおすすめです。
無料のセミナーだけでも受ける価値があると思います。
無料セミナーの登録は「コチラ」から可能です。
この記事があなたの役に少しでも立てば幸いです。
-
前の記事
不動産投資の融資返済方法の「元金均等払い」「元利均等払い」の違い 2019.06.09
-
次の記事
タイ・パーイのレンタルバイクの料金相場と借りる時の注意点を解説 2019.06.11