相手の調子を崩しビジネスを優位に進める 習慣指摘の心理効果とは
- 2018.10.05
- 心理学

この記事では、ビジネスの場などで交渉を優位に進めるテクニックである、習慣指摘の心理効果について解説します。
社会人として仕事をしていればビジネスの交渉において自分よりも上手の相手と交渉をした経験がある方は多くいらっしゃるでしょう。
また会社の同僚で自分よりも良い成績を上げており目障りに感じ、なんとかしてその相手よりも良い成績を上げて鼻っ柱を折ってやりたいと思う相手に出会ったことは、誰しも一度はあるでしょう。
以下で紹介する具体的な方法を実践すれば、強大な交渉相手を大した労力もなく勝手に自滅させる事ができ、自分に有利なように交渉を進められます。
また目障りな同僚もこの手法によって調子を崩し、勝手に成績を落としていくので、自分のほうが良い成績を残す確率を高めることが出来ます。
そしてあなたの社会人人生をより有利に進める事ができるでしょう。
人間誰しも癖はある
人間には誰しも自分では気づかない癖や、無意識にやってしまう習慣のようなものがあります。
例えば仕事上での電話対応において、
- 「えー、一度確認させていただきます。」
- 「承知しました。あー、後ほど改めてご連絡致します。」
- 「なるほどなるほど!理解しました。」
上記のような「えー」や「あー」、「なるほどなるほど!」を頻繁に口にしている同僚が居たとします。(実際に私の回りにも様々な口癖を持った同僚がいました。)
その口癖に気がついたあなたが、
- 「君は『えー』とか『あー』がばっかり言ってるね」
- 「なんで『なるほど』ばっかり言ってるの?」
などとその口癖を指摘したとします。
たとえあなたに悪気が無かったとしても、その一言を受けた同僚は自分の口癖に気が付いてしまい、今まで無意識に使っていた口癖が出そうになるたびに口ごもるようになります。
指摘されると意識が向く
今までスムーズにできていた会話が、自分の口癖を気にするあまり、ぎこちなくなることが増えてしまう。
この事によって仕事の調子を崩してしまった同僚は、大事な商談でもぎこちない会話が終始続いてしまい、大事なタイミングで重要な言葉が出てこず、取引が失敗に終わってしまった。
こういった現象は頻繁に起こりえます。
なぜ同僚はこのような状態に陥ってしまったのか。
人間は自分が無意識で行っていた行動や習慣を誰かから指摘されると、指摘された内容を必要以上に意識してしまう習性があります。
必要以上に意識してしまう結果、これまで無意識にやっていたようには振る舞えなくなってしまい、以前のようにスムーズな行動が取れなくなってしまうのです。
悪癖を直すのにも有効
上記で説明した現象を利用して「悪い癖を直す」ための心理的実験が行われたことがあります。
実験の被験者はそれぞれ「爪を噛む」「たばこを吸う」「常に口が空いている」「独り言を話す」などの無意識に行っている行為を、あえて意識的に実行する命令します。
命令されて意識的に悪癖を行うことを続けていくうちに、被験者たちはその行為をする度に抵抗感や嫌悪感を抱くようになります。
そして最終的には今まで無意識に行っていたその行為をしなくなったようなのです。
スポーツの世界でも有効
この心理現象はスポーツの世界でも利用されています。
例えば野球において、キャッチャーが打者の癖を指摘することで、打者は指摘された癖が気になってしまう。
その打者は癖を気にするあまり自分のフォームが崩れてしまう。
好調だった自分のフォームが崩れてしまい、その打者は凡打の山を築いてしまう。
このようにライバル関係にある相手の癖を指摘し意識させることで、その癖を気にするあまり勝手にペースを崩し自滅に追い込むということが、スポーツ界では行われているのです。
まとめ
ビジネスの場だけではなくスポーツの場にも有効な「習慣指摘の心理効果」をご紹介しました。
無意識下で行っている行動ほど他人からの指摘に弱いものです。
悪い習慣を直すような良い使い方も出来ますが、相手の調子を落とさせるといった、少しずるい手法としても使うことが出来るため、あなた次第でこの心理効果は良くも悪くも多くの人に影響を与えることが出来るでしょう。
しかしあまりやりすぎてしまうと、指摘ばかりしてくるあなたに対しての評価を下げる結果にも繋がりかねません。
自分が望む結果を得るためにはむやみに使うのではなく、使う場面や使い方を限定していざという時に使って頂ければと思います。
この記事があなたの役に少しでも立てば幸いです。
-
前の記事
セールスで使える心理テクニック 両面提示と片面提示 2018.10.04
-
次の記事
視線を使った心理学 目線を逸らすことで主導権を握る 2018.10.06