人の信頼を獲得し情報を得る心理学テクニック「自己開示の返報性」とは

人の信頼を獲得し情報を得る心理学テクニック「自己開示の返報性」とは

この記事ではコミュニケーションにおいて相手からの信頼を獲得し、その上で重要な情報を引き出すための心理学的なテクニックである「自己開示の返報性」についてご紹介します。

 

仕事上や女性関係などの人間関係を上手に構築するには、相手から信頼されることが不可欠です。加えてより自分にとってメリットがあるように有利に話を進めていくには、重要な情報をどれだけ引き出せるかにかかっていると言っても過言ではありません。

 

しかしなかなか相手との信頼関係が構築できず、重要な情報を知ることが出来ない。結果として自分が思い描くような成果が出せないといった経験をされたことがある方も大勢いることでしょう。

 

この記事にかかれている「自己開示」について理解し実践することができれば、相手の信頼を獲得した上で相手の本音や重要情報を引き出すことが出来るようになるでしょう。



自己開示とは自分をさらけ出すこと

そもそも「自己開示」と「自己開示の返報性」とはどういったものなのか。というのが最初に思う疑問でしょう。

「自己開示」とは自分についての極めてプライベートな情報や、自分の弱みとなるような本来秘密しておくべき情報を相手に開示する事を言います。

 

これをやられた相手は、開示された情報と同等の情報を自分も開示したくなってしまう心理的な動きが生じます。自己を開示した相手に同じように自分の情報を開示したくなる、これを自己開示の返報性と呼びます。

 

例えば、普段は無口で寡黙に仕事をしており近寄りがたい上司が突然、自分の不倫話などの自分のプライベートに関するやばい話を打ち明けてきたら、あなたはどう感じるでしょうか。

きっと多くの人が「こんな重要な秘密まで話してくれるなんて、自分に信頼して心を開いてくれている」と感じるでしょう。

そして、相手がこんなに心をひらいてくれているなら、自分も・・・と同じような秘密を話し出してしまうのではないでしょうか。

 

このように自分の秘密の情報を話す「自己開示」は相手への信頼感を示し、相手の「自己開示」を促すことが出来るのです。この心理的作用が「自己開示の返報性」なのです。

 

似たような言葉で「自己呈示」というものがあります。

「自己呈示」は「自己開示」とは異なり、他者からの印象や社会的評価を良いものにし、利益を得ることを目的で行う情報開示のことであり、自分にとって都合の良い情報だけを開示することで印象を捜査する手法を指します。

 

自己開示が自分にとって肯定的な情報であっても否定的な情報であっても包み隠さず両方開示することを指す一方で、自己呈示は自分にとって肯定的な情報だけ開示することを言います。

 

この2つは似て非なる内容ですので混同しないように注意が必要です。

 

信頼がほしければまず自分から信じるべし

この自己開示で目的とすべきなのが、相手からの信頼を獲得することです。

自己開示することはあくまで相手からの信頼を短時間で獲得するための手段であり、目的は別にあることを忘れてはいけません。

そして相手から信頼を得るために必要なのが、まず自分が相手を信頼するということです。

 

人は相手が自分の事をどう思っているのか敏感に感じ取る生き物です。心の奥底で信頼していない人は、その相手から心からの信頼を得ることは難しいです。

 

そのため、相手の信頼を得て重要な情報を引き出したければ、まず自分から相手を信頼し自分のプライベートな情報を開示することが大切です。

 

そして包み隠さずに開示することも大切です。

自分の都合の良い情報だけを開示したり、盛った話をしていても、相手にとってはただの自慢話と受け取られる可能性もありますし、信頼を得るという意味では効果が薄いです。

自分にとって不利となりえる都合の悪い情報をありのままに開示するからこそ、相手の信頼を得ることが出来るのです。

 

自分にとって都合の悪い情報を開示するには勇気が必要です。勇気を持って相手を信頼し自分の情報を開示するからこそ、相手からの信頼を得ることが出来るのです。

何でも貰うばかりの考え方では、大きいものを得ることは出来ないと言えるでしょう。

 

より突っ込んだ内容を開示すると効果的

上記でも少し触れましたが、「自己開示の返報性」の効果を最大限引き出すためには、自分のより突っ込んだヤバイ情報を開示することが有効であると言われています。

 

ある実験として自己紹介を書いてもらうアンケートを行いました。その際、実験者はそれぞれ、アンケートの回答者に記入してもらうアンケート用紙の上に、自分のこととして模擬例文を記載しておいた。

 

模擬例文はそれぞれ内容が異なっており、

  • 表面的な内容だけの模擬例文
  • 少し自分について突っ込んだ内容の模擬例文
  • 自分のアイデンティティに関わる悩みを打ち明ける内容の模擬例文

など、浅い自己紹介や深い自己紹介などを用意した。

 

するとより深い内容を書いた模擬例文が記載されたアンケート用紙には、浅い内容の模擬例文が書かれているアンケート用紙よりも、より赤裸々な自己紹介の回答が書いてあったようです。

つまりよりプライベートに突っ込んだ深い内容を先に打ち明けられると、それにつられて自分も開示された情報と同等のプライベートな情報も出してしまう傾向があるということが証明されたのです。

 

この効果はプライベートだけでなくビジネスシーンでも利用することが出来ます。

重要な交渉や駆け引きの前には雑談の中で自分の「打ち明け話」を少し漏らすことで、相手からも同等の情報を引き出し易くなるでしょう。

 

自己開示の返報性の生かし方

自己開示の返報性はあらゆる場面で生かすことが出来ます。

例えば恋愛において生かす場合を考えてみましょう。

 

恋愛において自己開示の返報性を手っ取り早く生かすのであれば、自分が相手のことを気になっている気持ちや好きであることを表現することです。直接自分の好意を伝えることが、相手との関係性を発展させるためには重要と言えます。

 

たとえ相手が自分に興味が無いような場合であっても、最初は当然拒否されるものでしょうが、好意を伝えられることで少しずつ興味を抱くようになり、そのままうまく発展していけば恋愛感情を抱いたり恋愛関係になる可能性もあります。

 

告白や好意を伝えるという段階は得てして最終段階と捉えられがちですが、自己開示の返報性を考えるのであれば序盤からガンガン好意を伝えていくべきなのです。

よほど相手の状況や感情を無視した行動をしない限り、人からの好意を伝えられて気分を害する人は少ないはずです。

 

そして好意を伝えるということはある種の自己開示であり、相手から返報性を引き出すためにプラスに作用する傾向があるのです。

 

また会社においての部下のマネジメントにおいても重要な役割を果たします。

部下に対して自分が期待している事を伝えたり、特別な仕事を任せるなどをすることによって、部下はその期待に答えようとより熱心に仕事に打ち込むようになります。こういった作用も自己開示の返報性を用いたテクニックと言えます。

 

さらに「君にだから話をするんだけど」「ここだけの話だが」などのフレーズを用いて、その部下にだけ期待している事を強調するのも効果的です。人間は特別扱いされる事を好む傾向にありますし、他でもなく自分だからこそ期待を寄せられていると感じることで、部下のモチベーションは更に高まっていきます。

 

同じようにビジネス以外の場面であっても、自分の情報を開示する際には、「特別に教えている」点を強調することで、自己開示の返報性はより大きな効果を発揮するのです。

 

まとめ

自己開示を行う=自分のありのままをさらけ出すというのは、慣れていない人の場合なかなかうまく出来ないものです。過去に自分の意見を否定されたり、バカにされた過去がある人ほど難しいでしょう。

 

しかし人を怖がったり嫌って、自己開示が出来ないでいるうちは、人間関係において信頼関係を築いたり、自分にとって有益となる情報を人から聞き出すことは困難です。

 

まず自分のことを知ってもらう、そして相手を信じたいという気持ちで相手と接することで、相手との信頼関係を作り上げることを心がけましょう。

 

そうすれば自ずと相手の信頼を獲得し、情報を引き出すことが出来るようになるはずです。