ハンドボールにおける体力の重要性と付け方について解説
- 2019.08.14
- ハンドボール

この記事ではハンドボールにおける「体力」というものについてご紹介していきます。
程度の差こそあれどんなスポーツでも体力というのは必ず必要になってきます。
もちろんハンドボールにおいても例外ではなく、ハンドボールという競技にはめっちゃ体力が必要です。
一般的に体力が必要そうなスポーツと言えば「バスケット」や「水泳」「マラソン」「サッカー」でしょうか。
逆に「野球」や「カーリング」なんかはあまり体力が必要なさそう印象を持っている人が多いでしょう。
しかしスポーツによって必要となる体力の種類やレベルは異なります。
ではハンドボールにはどんな体力が必要なのか?という疑問を解決していきたいと思います。
細かく解説していく前にそもそも私が何者かを簡単にご紹介させてください。
私は小学4年生からハンドボールを始め大学時代には国体の代表選手に入ったりインカレ(全国大会)で試合に出場し、チームメイトにも恵まれ全国ベスト8まで行った経験があります。
その時の経験や大学で一流の指導者から受けた内容を踏まえて、体力の重要性については身に染みて理解していますので、私の経験も交えて解説していこうと思います。
そもそも体力って何?
そもそも体力って何なのでしょうか?
体力(たいりょく)とは生命活動に必要な運動能力のことである。殆どの場合、体力とは筋力・心肺能力・俊敏性等の総合的な身体能力のことを指し、体を動かすスポーツ等で肉体能力に恵まれ、成果を出すことができる者は体力があると評価される。また、喧嘩が強い者や病気への抵抗力がある者、過酷な労働に耐え、疲労からの回復が早い者なども体力があると評価される。
※Wikipediaより引用
「筋力・心肺能力・俊敏性等の総合的な身体能力」がスポーツにおける一般的な体力の意味のようです。
重要なのは「総合的」なという点であり、筋力だけ強くても、心肺機能だけ強くても、俊敏性だけ強くても駄目なのです。
特にハンドボールは「走る」「止まる」「跳ぶ」「ぶつかる」「投げる」「転がる」「起き上がる」などの動作が複合的に何度も繰り返される競技であり、他のスポーツと比べても複雑な体力が要求されるスポーツと言えます。
体力(走力)が必要な理由
「体力がある」とは、いろいろな能力が揃っている必要があることは上記でご紹介しましたが、ハンドボールにおいて基本であり最も重要となるのは「走れる」ことです。
走れることが重要なスポーツは数多くありますが、ハンドボールもその例に漏れません。
「走れないやつはいらない」と言われることもあるくらいです。
ではなぜ走れる必要があるのか?
その理由は大きく分けて2つあります。
・多種多様で多くの練習量をこなすため
・実践で走るシーンが多いため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
多種多様で多くの練習量をこなすため
ハンドボールにおいて優秀な成績を追い求めようとした場合、数多くの技術やテクニック、知識、能力を身につける必要があります。
「シュート、パス、フェイント、ディフェンス、オフェンス、速攻の攻め方、守り方、ポジションごとの役割、システム、フォーメーション、定石、当たりの強さ、走り方」などなど、パッと思いつくだけでもこれだけの修めるべき練習があります。(それぞれにさらい細かいスキルがあります。)
その数多くの能力を身につけるためには相応の練習量が必要になります。
近年では短い時間で濃密に効率的に練習することが重要であると言われていますが、それでも短時間の間に集中して無駄な時間を減らして練習するのにも体力は当然必要ですし、気力と集中力も必要です。
それでも特に中学、高校において大会で良い成績を残したりプレーを上達させるためには、相応の練習時間・練習量が必要です。
短時間でも長時間であっても、集中力を持続させて頭をしっかりと使い、質の高い練習をするためには体力が必要不可欠です。
疲れてしまうと集中力もなくなり頭も使えなくなり、良い練習が出来ないからです。
試合そのもの前に、質の高い良い練習をするためにも体力が必要なのです。
試合で走るシーンが多いため
ハンドボールはどのポジションであっても(キーパー以外)走っている時間が長いスポーツです。
それはマラソンや短距離走のような単純な「走る」ではなく、「ダッシュして、左右に切り替えして、跳んで、止まって、またダッシュして」といった動作を繰り返すことが要求されます。
そのため長距離を走る力だけでなく、
・短距離ダッシュの最高スピード
・短距離ダッシュを繰り返せる力
・短時間でトップスピードになれる力
・全速力を短時間で止まれる力
・最初の3歩で最速に近づける力
・それを1時間の試合を通して継続する力
など、超短距離・短距離・中距離・長距離のすべての要素が必要になります。
そのことからも、ハンドボールにおいて短距離から長距離まであらゆる面で走れる体力があるということは、とても重要なのです。
体力(走力)があることで得られるより具体的なメリット
練習するのにも体力は必要だし、競技としても試合に体力が必要なのは上記で書いたとおりですが、より具体的に「体力(走力)があると試合でどんなメリットがあるのか」についてご紹介したいと思います。
1試合を通して高いパフォーマンスを安定して出せる
スポーツにおいて1試合を通して安定して高いパフォーマンスが出せるというのはとても評価されるポイントです。
なぜなら、監督やコーチからすると安定した戦力として計算しやすく、使い勝手位が良いからです。
仮にMAX10の能力を持つ「A選手」と、MAX6の能力を持つ「B選手」が居たとします。
「A選手」はMAXである10のパフォーマンスを発揮できる時間が10分しかなく、残りの時間は体力が無く2のパフォーマンスができません。
「B選手」はMAXでも6のパフォーマンスしか出ないものの、試合中を通してずっと6のパフォーマンスを発揮できるとしたら、AとBどちらの選手の方が使われやすいでしょうか?
安定して試合に出られるのはB選手で、A選手はワンポインの勝負所など短時間でしか使ってももらえないでしょう。
なぜなら大事なのは1試合を通してどれだけチームに貢献するか?という点だからです。
この視点は「プレーの内容が安定せず、日によって大きく変わる選手は使われにくい」ということにも共通します。
プレーの質が安定しない選手はチームの戦力として非常に計算しづらく、安定して試合に勝たせる確率を上げることが求められる指揮官からすると非常に使いにくいのです。
速攻で積極的に点を取りに行ける
走れる体力があると、1試合を通して何度も速攻にトライすることができます。
特に1次速攻(ワンマン速攻)などに出る役割の人は、最初はなかなか点を決められるところまで行けなくても、何度もしつこくしつこく速攻を仕掛けていくことで徐々に速攻で点を取れる様になってきます。
さらに繰り返し速攻を狙うことで相手ディフェンスを消耗させることができますので、点が取れなかったとしても繰り返し速攻を仕掛けるだけでチームに貢献していると言えるのです。
常に早い戻りでディフェンスに貢献できる
走れる、体力があるというのはオフェンスだけでなくディフェンスでも重要です。
全国レベルのチームになるとどこも早い速攻やリスタートを仕掛けてくるチームがほとんどです。
上位のチームになればなるほど速攻早くそして正確になってきます。
この速攻に対して対応できないとそれだけで試合に負けてしまうこともあります。
そんなチームに勝つためにはチーム全員が攻めが終わったら素早く戻るという意識が重要で、試合を通して素早い戻りを行うためには体力が必要不可欠です。
体力(走力)の鍛え方
上記で説明した通り、ハンドボールにはあらゆる体力(走力)が必要であり、その鍛え方も色々とあります。
そこでその鍛え方を目的ごとにご紹介していきます。
基礎体力(長距離)
まずすべての基本とも言える基礎体力。
これが一番重要です。
ある程度速い速度で長時間走っていられる体力を指します。
これは長時間集中して練習をするためや、1試合を通してバテにくい身体にするための体力です。
これは基本的には「30分以上のランニング」や「12分間走」を繰り返し行い、記録を高めていくことで能力が高まります。
長い距離、長い時間をかけて心肺機能と足を追い込みましょう。
中距離(継続体力)
便宜的に中距離としていますが、意味するところは20m、40mといった短距離を繰り返し走れる能力を指します。
これは短距離ダッシュとジョギングを繰り返す「インターバル走」や、コートを繰り返し往復する「シャトルラン」などで鍛えられます。
このときに設定する距離は、40mダッシュ20mジョギングや、200mダッシュ100mジョギングなど、自分の体を追い込める距離と回数で行うのが重要です。
しっかりと息が上がり、足が自由に動かなくなるまで繰り返し追い込むことで、徐々に走れる距離や回数、速度が上がっていきます。
短距離&超短距離
短距離とはハンドボールコートの縦横の距離である40mや20mをいかに早く走れるかの力を指します
超短距離とは最初の3歩でどれだけトップスピードに近づけられるかを指しています。
ハンドボールにおいて短距離も超短距離もどちらもとても重要で、短距離は速攻の攻めと守り(戻り)で必要になりますし、超短距離は速攻の出足、サイドシュートの走り込み、フェイントの前の助走、フェイントの切り返しなど、止まっているところから最速まで持っていく能力が高いほど有利です。
この能力は単純に長い距離を走っていれば身につくものでもありません。
一気に最速に持っていく爆発的なパワーが必要になります。
しかも試合中に何度も繰り返さなくてはいけないから大変です。
これは全速力での20m、40m、20mのダッシュ&ストップ&ダッシュの繰り返しのトレーニングなどで伸ばすことができます。
あとは最初の3歩のスタートで速度を出すトレーニングや、ふくらはぎや太ももの後ろ側(ハムストリング)・体幹を鍛えるウエイトトレーニングをすることで速度が上がります。
その他の体力
ここまでは純粋に「走る」事に関してのトレーニングについてご紹介しましたが、それだけでは足りません。
(純粋に走るトレーニングの方が重要ですが)
なぜなら、ハンドボールは前に走るだけでなく、
・左右(サイドステップ、クロスステップ、フェイントなど)
・後ろ(バックステップ)
・上(ジャンプや倒れ込みから立ち上がる動作)への動作
・相手選手と繰り返される体のぶつかり合い(ボディコンタクト)
などの走る以外の動作も繰り返し発生するからです。
それらの動作にも1試合を通して耐えられるだけの体力をつけるためのトレーニングも必要になります。
これらの力を鍛えるためには、フットワーク・ジャンプトレーニング・全身のウエイトトレーニング、コンタクトトレーニングなどを練習メニューに組み込み、長い時間をかけて繰り返して積み重ねていく必要があるのです。
トレーニングに役立つアイテム
ハンドボールの体力をつけるために役立つアイテムをご紹介します。
こちらはAnazonで高評価レビューを獲得しているスマートウォッチです。
ランニングなどの走るトレーニングの際に時間や距離、心拍数などを図ってくれるので、自分を効率的に追い込むのに役立ちます。
こちらはアンクルウエイトです。
いきなりお持ち亜重量をつけて走ると故障の原因になりますが、少しずつ重りをつけてランニングをすることで短時間で急速に脚力を強化する事ができます。
これは実感としても結構効果がありました。
こちらは瞬発系(アジリティ)トレーニングの代名詞「ラダートレーニング」のラダーです。
意外と安く手に入るので、チームでの購入はもちろん個人でん購入もおすすめです。
忘れてはいけないのがシューズです。
ランニング専用のシューズはハンドボールシューズと比べて意外と安く買えるので、ラントレ専用のシューズを買うことで結果的に総コストで安くなるでしょう。
またシューズは変なものを買うと足を痛める直接的な原因になりやすいですので、ある程度しっかりしたものを買いましょう。
個人的にはアシックスのシューズは幅広の靴が多く安定感があるのでおすすめです。
まとめ
ハンドボールに必要な体力と鍛え方について解説しました。
ハンドボールには様々な種類の走る力に加えて、転んでから立ち上がる動作、縦横無尽にステップを踏む動作、他人と体をぶつけ合い続けるても疲れない体力が必要な競技です。
これらの複合的な体力を身につけることは一朝一夕でできるものではなく、毎日に積み重ねが重要になりますので、日々サボることなく体力トレーニングに取り組み体力を伸ばすことで、あなたのプレイヤーとしてのレベルは一段と高くなることでしょう。
かの有名な野球選手イチローも以下のような言葉を残しています。
「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」
頑張りましょう。
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